日本の紀元はキリストの生誕の年ですが、タイはブッダ(釈尊)の入滅した一年後のBC543年を紀元としています。つまり、現在の年号は2009+543で2552年になります。このような年号はカンボジアとラオスにおいても共通しています。セブンイレブンなどで買った食品の賞味期限にもこの数字が使われているので初めのうちは面喰らいます。また、ミャンマーではブッダ(釈尊)の入滅した年のBC544年を紀元とするのでタイとは一年のズレがあります。このような国々は上座部仏教圏と呼ばれ、日本をはじめとした東アジアの仏教とは区別されています。一般に原始仏教の戒律を直接伝えているものが上座部仏教で、これに対して釈尊の没後に時代や伝わる地域性によって戒律を緩やかに変化させたものを大乗仏教としているようです。大きな違いは上座部仏教に於いて僧侶は一般の大衆と厳しく区別されているのに対して、大乗仏教の中では僧侶のみならず私たち大衆でさえもが成仏できる対象としていることです。また、一般的に仏教の世界では僧侶の結婚そのものが有り得ないのですが、日本のように僧侶の結婚はおろか、我々と同様にお酒も飲んでも構わないとした戒律は大乗仏教界の中ですら逸脱しています。しかし、日常生活において日本とタイの仏教の違いはほどんど気にならないでしょう。タイでは外国法人の企業であってもその敷地内にヒンドゥー教の神様を祭っていて、この感覚は日本の会社が社長室などに神棚を飾っている感覚と同じです。つまりタイ社会全般には八百万の神がいて、人々はその時々の都合でご利益を願っています。深夜のバンコクの繁華街の路上で若い女性が様々な占い師に自分の明日を問い質している光景を見ると日本と変わらないと誰もが思うでしょう。敢えて私たちが注意しなければならないのは、タイの僧侶は私たちの俗世間とは明確な一線を画しますので、あなたにそうした宗教心がないのであればうかつに近づかない方が無難でしょう。